アプリ開発の雑記帳

アプリ開発やスマホアプリを触ってる内に感じた事を備忘録がてら纏めた内容です。筆者が雑食なのでアプリ運営以外の事も多分書きます

アプリ運営で気を付ける資金決済法入門その1

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アプリ運営をするに当たって無視する事が出来ない事項の中に
資金決済法というものがあります。

 

今回の記事では
1.資金決済法とは何なのか
2.具体的にアプリ運営の時に気を付けることはなんなのか
についてなるべく分かり易く纏めます。

 

1.資金決済法とは何なのか

ざっくりと資金決済法の概要だけ言うと、

・毎年3月末、9月末に有効期限が6カ月より長い有償アイテムの未使用残高が
 「1,000万」を超えている場合は2ヶ月以内に
 その2分の1以上の額を供託金として預けないといけない

という法律です。

 

つまり、1000万を超えていなければ何も気にすることはありません。
ただし、これは1アプリで、ではなく、会社が運営している全てのサービスの合算で
カウントされますので、注意して下さい。
http://www.s-kessai.jp/businesses/prepaid_means_overview.html

 

有償アイテム、有効期限、未使用残高の定義についても
簡単にご説明しておきます。
有償アイテムとは、消費者が購入した課金原資の事です。
例えば、モンストのオーブやパズドラの魔法石はアプリ内のショップで購入できますが
ショップで購入したものを有償アイテムとして扱います。
※ですが、例えば1個だと120円だけど2400円支払えば25個買えるなど、
 購入額が高くなるほどおまけが付いてくる場合、
 差分の5個はおまけなので無償アイテムと扱われる事もあります。

 

無償アイテムはユーザーが対価を支払わずに手に入れた課金原資です。
運営からのプレゼントだったり、いわゆる詫び石だったりが該当します。

次に、有効期限についてです。
有償アイテムの内、有効期限が6カ月以内のアイテムは
資金決済法の対象にならないとされています。
コンシューマですが、任天堂の大合奏バンドブラザーズPというゲームがあります。
このゲームは、お金を支払うことで課金原資(トマト)を購入できますが、
このトマトは最大5カ月で腐る仕様になっています。https://www.nintendo.co.jp/3ds/anej/tomato/index.html
こうすることで、資金決済法の対象にならないようにしているのです。

 

ではスマホアプリもそうすれば良いのではと思われるかもしれませんが、
Appleが規約で、購入したコンテンツに期限を設けることを禁止していますので、
残念ながらスマホアプリ側では少なくとも、iOSに対しては
期限をつける対応は出来ないのです。
Apple Developer Guidelines3.1.1に該当(2016年10月現在)
GooglePlay側は、現状購入コンテンツに期限を設けることを禁止していません。
その為、AndroidiOSで不公平感を無くすため、
どちらも有効期限なしとしている企業も多く存在します。

 

最後に未使用残高というのは
今まで発行した全ての有償アイテムの内、3月末or9月末までに
使われていない有償アイテムの価値の額
と認識いただければ大丈夫です。

 

分かり易く、ケースごとにまとめます。
1個120円の課金原資を今までにAndroidで5万個(600万)、iOSで5万個(600万)売りました。
≪ケース1≫
Androidで課金原資の有効期限を6カ月以内にしていました。
Android分は資金決済法の対象にならないので、600万の未使用分があったとしても
 1000万未満のため、資金決済法の対象にはなりません。

≪ケース2≫
Androidで課金原資の有効期限を特に定めていませんでした。
3月末の時点でAndroidで4.5万個、iOSで4万個使われていない有償アイテムがありました。
➡(4.5万個+4万個)×120円=1020万円が未使用残高になるため
 資金決済法の対象になります。

では、資金決済法の対象になってしまいました、
いざ支払わないといけないとなった時に、
未使用残高の2分の1以上はかなりの額になる可能性もあります。
そういった場合は既定の信託銀行や保証会社と契約を結ぶことで
OKとするケースもありますので、
自社の状況を踏まえたうえでどちらのケースが適しているのかを
判断されるとよいかと思います。

 

こうやって見てみるとあっさりと資金決済法に該当するので
サービス提供者側に対して優しくない法律に見えますが、
資金決済法とは、そもそもの背景として消費者を守るための法律として制定されました。
サービス提供者側は消費者に対して有事(サービスクローズ等)の際に
消費者からの要請があれば返金義務を負います。
その支払い能力を担保する為の決まりだとお考え下さい。

 

ちなみに、スマホアプリ等でよく見るアイテム課金を導入しているサービス提供者は
資金決済法における「自家型前払式支払手段発行者」に当たります。
ご自分でもっと詳しいことを調べたいと思われた際は
この語句でも検索してみるとよいかと思います。

 

長くなりましたので、2.具体的にアプリ運営の時に気を付けることはなんなのかは
次のエントリに纏めます。

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